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ブログ天使の囁き(童話で心を癒して・・・)

 ◆リーダーtensiの童話集です。   童話集はコチラ

小さな天使
           

「かあたん、おひさま、おひさま」

「はいはい、ちょっと待ってくれる」

「さっちん、まてないの」

「お掃除も洗濯もあるからね」

「だめなの、みんなまってるの」

「そうか、きょうはお日様が出ているのよね、ごめん、母さん忘れてた」

 さっちんは2歳になったばかりです。

昨日の夜の事でした。

雨が続いていたのですが、天気予報で明日は晴ると言っています。

「かあたん、あしたおひさまでるの」

「そうみたいね、そうか、晴ると、みんなに会えるね」

「うん、さっちん、いくの」

「そうよね、行くんだよね」

 さっちんに、そう言っていたのですが、お父さんを送り出したら忘れていました。

久しぶりのお天気なので、洗濯やお掃除の事ばかり頭にあったからです。

お母さんは洗濯も掃除は後回しにして、公園に急ぎます。

 公園には、たくさんのお年寄りが集まっています。

おもいおもいの格好で太極拳をしているのです。

さっちんは公園の入り口に着くなり、ベビーカーから出ようとします。

「もう、さっちんたら、ちょっと待ってくれる、お母さんしんどいんだから」

「かあたん、はやくはやく」 

さっちんは、みんなの姿を見ると、じーっとしていられないようです。

お母さんはお年寄りが集まっている近くで、さっちんを下ろします。

さっちんは、とことこした足取りで、みんなの所へ行きました。

「おお、さっちんが来たぞ」

「あらあら、今日も来てくれたのね」

 さっちんは、笑顔でみんなを見回すと、身体をくねくね動かします。

「さあ、みんな、さっちんと同じように」

 さっちんを囲むようにみんなは集まります。

そして、さっちんの動きに合わせて身体を動かします。

さっちんはゆっくりした動作しか出来ません。

その動作が太極拳の動作に似ているのです。

 さっちんはくるりと回転してすってんころり。

みんなも真似して、すってんころり。

みんなの笑いが公園中にこだまします。

終わってから、みんなに抱かれて得意げなさっちん。

さっちんに会えるのは、お日様が出た時だけです。

ちっちゃな天使は、喜びと元気を運んでいます。

嬉しそうにしている、お年寄りを見ると、さっちんに駄目と言えないお母さんなのでした。




 




















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